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魅惑の女性ジャズ・トランぺッター;市原ひかり”MOVEON” [音源発掘]

7月になりましたね。

夏の暑さも本番を迎え、少々バテ気味ながらも相も変わらず日々仕事に翻弄されている毎日を過ごしている私。
「引退間近の年寄りをここまでこき使うなよ」と、愚痴を言いながらも、私を頼って来る依頼者の願いには耳をかさぬ訳には行かず、さらに忙しさも増していつまで経っても楽をできないでいる有様。

と言いながらも記事の更新も怠る気持ちにはなれず、今回のお話は、ここのところ遠のいてしまっていたジャズ作品のお話。

そうしたことで、今回取り上げるは、昨今お気に入りでよく聴いている、日々の忙しさを紛らわしてくれているこの作品。

Move On 、市原ひかり m..jpg


日本の女性ジャズ・トランぺッター市原ひかり 2010年発表の5作目の作品”MOVE ON”を取り上げることにいたしました。

2005年の作品 ”一番の幸せ”でCDデビューをした彼女、最初はまた女の子のジャズ・プレヤーか、どうせ日本のレコード会社の受け狙いの産物なのだろうと聴いてみる気すらなかった私なのですが、その私が彼女のサウンドに興味を覚え聴いてみようと思ったのは、翌2006年に制作された2作目の作品”Sara Smile”に出会ってのこと。

今は廃刊となってしまったジャズ雑誌スィング・ジャーナルでGoldディスク作品として紹介されているのを知り、その内容を見てみると、ジャズの本場NYで活躍している強者アーティストを従えての海外録音。

2作目にしてこの力のいれよう、これは、いくら売らんかな姿勢丸出しの日本のレコード会社でもありえないこと!!
もしかすると、なかなかの逸材やもしれぬと、早速手に入れ聴いてみることにしたのです。

そして一聴してみると、当時、若干24歳の女の子が、NYの猛者連に揉まれながらも対等に渡り合っている。
しかも、そのサウンドは女性らしく、マイルドで優しい香りに満ちていたという何とも印象に残るもの。

これは将来が楽しみなアーティストだと思いながらも、しかし、一方、当時の私はトランペットいうと幅広い音域を駆使しバリバリと迫りくるスタイルが好みだったこともあって、彼女のプレー・スタイルには今一つ何か物足りないものを感じてしまって、その良さを理解できぬままとなってしまったのです。

そのトラウマが祟ってか、それから10年。
それまで、彼女のトランペットを聴くことはあまりなかったのですが、とある日、CDショップに行き店内を物色していると突然目に飛び込んで来たのがこの”MOVE ON”。

こういう形で出会った作品、これはご縁の産物なのだと、過去にも持ち帰り聴いてその良さに嵌ってしまった経験が度々あった私。
もしかすると、これもその筋の作品なのではと直感し、持ち帰り聴くことにしたのです。

さて、その顛末は??

その答え、それでは早速その演奏、聴いていただき判定していただくことにいたしましょう。









曲は”INSPIRATION”です。

日本の若手ミュージシャンを率い、初の自己のグループで臨んだこの作品、気心知れる仲間を得て市原ひかりのトランペットものびのびとした雰囲気で、自由自在にそのサウンドを紡ぎあげている様が感じられます。

そして、バックを支える浅井良将(as)、堀秀彰(pf)、中林薫平(bass)、安藤正則(drs)等、4人のメンバー。
その若さあふれる溌剌としたプレイで彼女をサポートしつつ、一人一人が今様でありながらジャズの伝統に基軸をおいた斬新な音を聴かせてくれている。

特に、浅井良将(as)、堀秀彰(pf)のプレイは、このグループの大きな要となっているようにも感ぜられ、さらなる魅力をこの作品に添えているいるようにも思えます。

曲は、9曲中8曲がオリジナルで、その内6曲が市原ひかりのペンによるもので残り2曲浅井良将、堀秀彰それぞれの手によるもの。

デビュー作”一番の幸せ”でも、親しみやすく口ずさみたく様な暖かい曲を書いていた彼女、その作曲の才にもさらに磨きがかかり、本来の味に加えてジャズらしい力強さが増してきているのを感じます。

そうしたことを感じる市原ひかり、現在のジャズに新しい風を呼び寄せる、本当にこれからが、さらに楽しみなアーティストの一人ではないかと思います。

それでは、最後に彼女の最新作”Dear Gatsby ”より ”Can you repeat the past?”を聴き、市原ひかりの世界をもう一度心の奥に刻んでいただき、今日のお話を終えることとしたいと思います。



Track listing
1やみくろ(市原ひかり)
2 A Story of Rabbit(市原ひかり)
3 Everything Happens To Me (Tom Adair/Matt Dennis)
4 アウターリミッツ(市原ひかり)
5 年度末 (浅井良将)
6 梅雨あけ(市原ひかり)
7 新年度(市原ひかり)
8 Small, good thing(市原ひかり)
9 Inspiration(堀秀彰)

Personnel
市原ひかり(tp,flh)
浅井良将(as)
堀秀彰(pf)
中林薫平(bass)
安藤正則(drs)

Release
2010-03-17
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コメント 6

moriyoko

最近ブラスの音に気づいたら反応して聞いてて、市原さんの演奏も楽しく聞かせていただきました。
トランペットは力強くパワフルな印象ですが
市原さんは音が柔らかくてまろやかですね。
でもちゃんとトランペットの音で物足りないわけでなく…
自分も少し学生時代管楽器やっていたのもあるでしょうけど
ブラスの魅力をここのところ強く感じます
弦楽器もステキだけど、息吹からくる力強さなのかなあ。
ジャンル問わずブラスの音聞きたい最近です
by moriyoko (2017-07-18 00:07) 

mk1sp

最初に女性だと聞いているからなのかも知れませんが、柔らかい音という印象ですね♪


by mk1sp (2017-07-18 21:35) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

moriyokoさん

若い頃私は、ブラス入りのサウンドは嫌いだったのですが、60年代の終わりにブラス・入りのロックバンドが登場、そのサウンドの持つ音の深みと厚さの持つ温かみを知って以来、その虜人になってしまいました。

中でもトランペットは大好きな楽器なのですが、市原さんのペットは、ジャズの伝統を大切にしながらもClifford BrownやMiles Davisらのそれとはまた違った個性を感じ気に入っています。

弦だけでは表現することの出来ない音の世界がある、是非とも、いろいろなブラス・サウンドを聴いて自身の音楽感を広げてみてください。


by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2017-07-23 07:44) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

mk1spさん

柔らかい音という印象、この記事にも書きましたが、最初彼女の演奏を聴いた時は、迫力のない弱々しさを感じがっかりしてしまったのですけど、よく聴いてみると柔らかさの中にも内に秘めた力強さがあるの気付きよく聴くようになってしまいました。

最新作”Dear Gatsby ”はコンセプト作品とのこと、よろしければ是非一聴してください。



by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2017-07-23 07:51) 

ハンコック

デビューアルバムから10年ほど経ちますかね。
デビューアルバムを一聴して気に入ってしまいました。
こういう柔らかなペットでの音楽というのも
ゆったりと聴けて良いものですね。

by ハンコック (2017-07-27 20:39) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

ハンコックさんが、フュージョン色の強いデビューアルバムを気に入っていたとは、ちょっと意外な感じがしましたけど。

私もこのデビューアルバムは、今はお気に入りなったのですけど、初めて聴いた時はインパクトに欠けているように感じ物足りなく思っていたのですけどね。

昨今の彼女のペット、柔らかさを保ちつつ、聴く者を惹き付ける力が増しているように思え、このあたりからやっとのことで彼女のサウンドの良さが理解できた次第。

今は、柔らかなペットの音楽、その歌心も十分に心に沁みわたりいいものだなと思ってきます。

by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2017-08-04 20:44) 

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