So-net無料ブログ作成

プログレシッブ・ロックの夜明けを切り拓いたベーシスト達を偲んで Part.3 [音源発掘]

早いもので2017年も6月を迎え半年が過ぎようとしているところ。
この「プログレシッブ・ロックの夜明けを切り拓いたベーシスト達を偲んで」も遅々として筆の進まぬまま気付いてみれば3月に書き始めて以来3ヶ月も経過してしまいました。

これでは追悼というにはすでにその機会を逸してしまったな思いつつ、何とかけじめをということで今回はその最終回。

今年1月に、亡くなったベーシストのJohn Wettonのことをお話したいと思います。

John Wettonというと多くの方が、80年代一世を風靡したASIAでの活動を思い浮かべる方が多いのかもしれませんが、この人の名が多く知られるようなったのは1970年代の初頭のこと。
それまでとは全く異なったコンセプトで活動を開始したRobert Fripp率いる 第3期 King Crimsonへの参加によってでした。

ここでのWettonは、”Larks' Tongues in Aspic(邦題:太陽と戦慄)”、”Starless And Bible Black(邦題:暗黒の世界)、”Red”の3枚の作品にその足跡を残しているのですが、そのサウンドは、後のASIAでのものと大きく異なり、即興演奏(インプロビゼーション)を主体とした技巧的かつスリリングものだったことが思い出されます。


それでは、King CrimsonでのWettonのプレイ、まずは最初にCrimsonインプロビゼーション期の最後の作品”Red”から、

red king crimson.jpg


曲はその表題曲”Red”を聴き、その彼の足跡をたどって行くことにいたしましょう。



いかがですか。
私としてはこの時期のKing Crimsonが一番好きで、おかげでWettonというと、まずはこの作品を思い出してしまうのですが、ASIAでWettonを知った方々にとっては、このサウンドにはかなりの違和感を覚えたのではないかと思います。

革新的なサウンドを提示したKing Crimson、ここで世界的に名を知られるようになったWettonだったのですが、この”Red”を最後にKing Crimsonは1974年いったん解散、Wettonも新たなステージへと身を進めて行くことになるのです。

その行き先は、”Look At Yourself(邦題:対自核)”、”Demons And Wizards(邦題:悪魔と魔法使い)”、 ”The Magician's Birthday(邦題:魔の饗宴)”等の作品で、当時その地位を築きあげていたプログレシッブ・ハード・ロック バンドのUriah Heep。
その彼らの1975年の8作目の作品”RETURN TO FANTASY(邦題:幻想への回帰)から、その活動に参加することになったのです。

return to fantasy uriah heep.jpg


プログレシッブ・ロック的な感覚を付加しつつ、ポップな感覚のハード・ロック・サウンドで定評の高かったUriah Heep、そこでインプロビゼーションの世界で鍛え上げられたWettonのベース・サウンドが、どう炸裂するのか興味津々といったところ。

というところで、今度はその演奏、ここで聴いてみることにいたしましょう。













曲は、”Return To Fantasy”です。

先に聴いていただいた”Red”とは打って変わってハードでストレートなポップ感覚を持った曲。
Uriah Heepの諸作品の中で唯一英国のアルバム・チャートトップ10入りした作品だという話も頷ける演奏です。
しかし、ここでのWettonのプレイ、よく聴いてみるとその太く柔らかい音色でリズムを的確に刻むベース・サウンドは、King Crimson時代のそれとほとんど変わりないように思えるのですが、Crimson時代のWettonを先に知ったものにとってはこの変貌ぶりにはかなり戸惑いを感じてしまったのも事実。
当時は、Wettonもここまで堕落してしまったかなどと思ったものでしたけど、よく考えてみれば、あの時代のKing Crimson、そもそも強いインプロビゼーション指向のサウンドは目指すこととなった、リーダーのRobert FrippとドラムのBill Brufordとの出会いによるもの。

そう考えれば、その中でWettonは、ともすればFripp、Brufordの二人が互いにに集中するがあまり亀裂が生じしそうになる中、インプロビゼーションに没頭するタイプと言うよりは、的確なベース・プレイでその亀裂をつなぎ留め新たな展開へと導いて行く役割を果たしていたようにも感じられるのです。

とすればWetton、後のASIAでの成功を思えば、このUriah Heepの演奏がWettonの本来のスタイルであって、ここで自らの音世界を開花させたのではと思えてくるのですが???

その証拠に、Uriah Heepの次作”HIGH AND MIGHTY”でWettonは作曲だけでなくリード・ヴォーカルも担当するようになっていて、そんなことからもASIAの活動に向けての萌芽が芽生えのは、このUriah Heepでの活動であったのではと考えてしまうのです。


Uriah Heepで自らの道を切り拓いた思われるWetton、その後は、この作品を最後にUriah Heepを離れ、1978年、再びBill Brufordと共にインプロビゼーション指向の強いバンドUKを立ち上げるも、キーボドのEddie" Jobsonの強烈な個性によるものだったのか紆余曲折があった後、2年でバンドは解散、いよいよ1981年 ASIAに参加することとなり、本来彼が持っていたと思われるポップセンスを大きく開花させて行くことになるのです。

さて、そのASIA、そのメンバーはWettonの他、元YesのギターのSteive How,と元EL&Pのドラム奏者Carl Palmer、そして当時The Buggles、Yesのキーボド奏者として急速にその名を知られ始めたGeoffrey Downesという、プログレッシブ・ロック界を代表する名プレヤー4人よるスーパー・バンドであったことから、私などは、70年代の長大かつ壮麗なプログレシッブ・ロック・サウンドを想像期待し、即その作品をGetし聴いてみたのですが、そこにあったのは洗練されたポップなサウンド。

最初は、この4人をしてこの軟弱なサウンドはなんなのだ思ったのですけど、何回か聴いているうちに、ポップなれど、その要所々にプログレシッブ・ロックで鍛え抜かれた巧みの技によって、そのサウンドをただのポップ・ミュージックに終わらせないよう周到な仕掛けが施させることに気付かされ、その後、このASIAを愛聴うようになってしまったことが思い出されます。

その発端がこの作品。

asiaalbumn.jpg


1982年の発表の彼らのデビュー作品”ASIA(邦題;時感〜時へのロマン)”です。

ここでWettonは、この作品のすべての楽曲の作曲に名を連ね、ベースのほかリード・ヴォーカルをも担当しているのですが、そこにある彼の姿は、すべてに吹っ切れ、本来の自分の音楽を語っていたというのがその印象。

それではお待たせ、在りしのASIA,でのWettonの演奏、ここでじっくりと楽しむことにいたしましょう。
曲は、そのファースト・アルバムから "Only Time Will Tell(邦題;時へのロマン)" です。



この映像は、比較的直近のWettonの姿を捉えた映像だと思うのですが、この曲を歌うWettonの声、オリジナルの録音時に比べ厚さと太さが増しているように思え、そこに落ち着いた渋みを感じてしまいます。
この当たり、Wettonと同様、年齢を重ね太く渋い声となってしまった前回の記事に取り上げたGreg Lakeが、その往年の瑞々しさを失い失望してしまった人が多かったのに対し、逆にWettonについては、その放つ年輪の重みを感じてしまう点、同じプログレシッブ・ロックとのアーティストとはいえ、その人本来が持っているサウンドの個性によってその印象が全く逆になってしまうことに、興味深いものを感じることとなりました。

そうなるとASIA,におけるWettonの演奏、さらにもう1曲、聴きたくなってしまった!!!

そこで次に選んだ曲は、同じくファースト・アルバムから、全米 Billboard 1位に輝いたこの名曲。

”Heat of the Moment”を聴き、在りしのWettonのことを共に偲ぶことにしたいと思います。





King Crimson ”Red”
Track listing
1. "Red" (Instrumental) Robert Fripp
2. "Fallen Angel" Fripp, John Wetton, Richard Palmer-James
3. "One More Red Nightmare" Fripp, Wetton
4. "Providence" (Instrumental improv)
(Recorded at Palace Theatre, Providence, Rhode Island, US, 30 June 1974) David Cross, Fripp, Wetton, Bill Bruford 8:08
5. "Starless" Cross, Fripp, Wetton, Bruford, Palmer-James

Personnel
King Crimson
Robert Fripp – guitar, mellotron
John Wetton – bass, vocals, lyrics on "One More Red Nightmare" and "Starless"
Bill Bruford – drums, percussion

Former King Crimson personnel
David Cross – violin on "Providence"
Mel Collins – soprano saxophone on "Starless"
Ian McDonald – alto saxophone on "One More Red Nightmare" and "Starless"
Additional personnelMark Charig – cornet on "Fallen Angel", bass cello on "Red" (uncredited)[15]
Robin Miller – oboe on "Fallen Angel"
Uncredited musician – cello on "Starless"
Richard Palmer-James – lyrics on "Fallen Angel" and "Starless"

Recorded
30 June (live) ·
July–August 1974 (studio)


Uriah Heep Return To Fantasy
Track listing
All songs written by Mick Box, David Byron, Ken Hensley and Lee Kerslake, except where noted.
1."Return to Fantasy" (Byron, Hensley)
2."Shady Lady"
3."Devil's Daughter"
4."Beautiful Dream"
5."Prima Donna"
6."Your Turn to Remember" (Hensley)
7."Showdown"
8."Why Did You Go"
9."A Year or a Day" (Hensley)
1996 Bonus Tracks10."Shout It Out" (Ken Hensley)
11."The Time Will Come"
12."Beautiful Dream (Demo)"
13."Return to Fantasy (Single Version for European Release)" (Byron, Hensley)

Personnel
David Byron – Lead vocals
Mick Box – Guitar
Ken Hensley – Keyboards, synthesizer, guitars, vocals
Lee Kerslake – Drums, percussion, vocals
John Wetton – Bass guitar, mellotron, vocal

Recorded
Spring 1975
Lansdowne Studios and Morgan Studios, London


Asia (Asia album)
Track listing

All tracks written by John Wetton and Geoff Downes, except where noted.
1. "Heat of the Moment"
2. "Only Time Will Tell"
3. "Sole Survivor"
4. "One Step Closer" Wetton, Steve Howe
5. "Time Again" Downes, Howe, Carl Palmer, Wetton
6. "Wildest Dreams"
7. "Without You" Wetton, Howe
8. "Cutting It Fine" Wetton, Downes, Howe
9. "Here Comes the Feeling" Wetton, Howe

Personnel
John Wetton – lead vocal, bass guitar
Geoff Downes – keyboards, vocals
Steve Howe – guitars, vocals
Carl Palmer – drums, percussion

Recorded
June – November 1981









nice!(16)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:PLAYLOG

nice! 16

コメント 4

ヒサ

ジョン・ウェットンが他界されていたのですね・・・
Only time will tellが大好きでした。
ライブ映像すごく良かったです。
R.I.P. Wetton
by ヒサ (2017-06-11 08:51) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

ヒサさん

Only time will tell、私など、この曲のシンセサイザー響きに70年代のプログレシッブ・ロック残り香あるように感じ、ASIAを聴くようになった次第で、もしこの曲がなかったらこの先、ASIAを聴くことはなかもしれないというぐらい好きな曲。

映像、楽しんでいただけて良かったです。






by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2017-06-15 16:30) 

raccoon

2016年は、多くのアーティストが亡くなられましたね。
70年代に聴かれていたファンの方には、喪失感が大きいと思います。
最近になって知ったのですが、John Wetton の唄う「Starless」が好きです。
ASIA は「Don't Cry」をリアルタイムで聴いて覚えていますが、恥ずかしながら、スーパーグループだとは知りませんでした。
by raccoon (2017-06-17 12:02) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

raccoonさん

”Don't Cry”は、ASIA第2作目のAstraに収められていた曲ですけど、この後WettonはASIAを解雇されてしまいバンドも、メンバーの入れ替わり激しくヒットにも恵まれず、一旦解散をしてしまったので、私より若い方にとってはその印象が希薄であることは致し方ないことだなと思います。

Crimson時代の”Starless”は私も気に入っていて、REDの紹介のところではこの曲を挿入しようかとも考えたのですが12分の長大な曲のため断念しました。

Crimson時代の、Wettonもなかなか味があるので、是非ともさらに耳を傾けてみてください。







by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2017-06-17 16:09) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0