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歌い躍る至高のドラム ・Max Roach;Live In Tokyo [音源発掘]

昨年は、私を皮切りに家族が順繰り入院、その後も仕事とその後家族の世話で、年末にはすっかり体調を崩してしまっって。
そんなことで、今年に入って正月は休養に徹しその回復に努めていたのですが、幸いその後も、出張が少なく、自宅で過ごす時間も増えたことから、やっとのことで回復基調へと転じることが出来たところ。

おかげで、今年は1月が過ぎるのがいつにもなく妙に長かったように感じているのですが、そうはいっても暦は変わって既に2月。

その2月入って初めての記事の今回は、

前回の記事で取り上げたCharles Mingus、その記事を書きながら思い出した一人の大物ジャズ・アーティストを取り上げ、その作品を語ることにしたいと思います。

そのアーティストは、Mingusの良き相棒であって、自分たちの表現したい音楽を世に送り出そうと共にレコード会社を設立したり、人種隔離反対運動の活動家として共に活動した、また、プレヤーとしては、Kenny Clarkと共に、現代のジャズへと続く1940年代ビ・バップの黎明期において、そのサウンドをサポートするための次世代のドラミング・スタイルを築き上げた、偉大なドラム奏者であるMax Roach。

この名前を聞けば、ジャズ史上、伝説のトランペッター Clifford Brownとの双頭コンボでの名演の数々でご記憶の方も多いとにでは。
そこで、ならばそれらの作品の一つを選んでお話をと! 行きたいところなのですが、それでは主役はあくまでMax Roachとは言っても、やはりそこは伝説のトランぺッター、書けば Brownばかりに焦点があたる記事になってしまいそう!!!!

ならば、Brown亡き後の、フロントにKenny Dorham(tp)、Sonny Rollins(ts)二人の名手を配し、かつRay Bryantのピアノが聴ける1956年の”Max Roach Plus Four”や、当時4/4拍子が主流のであったジャズの世界に3/4を持ち込み全曲3/4の曲で彩った1957年の”Jazz In 3/4 Time”といった50年代半ばの意欲作あたりを選ぶのではと思われるかもしれませんが、さに非ず。

もちろんそれらの作品には私も大きな愛着があるのですが。今回選んだのは...........

Roachのドラムの凄みをいやというほど思い知らされた、それらの作品からずっと時代が下った1977年、その年の来日の際に録られた東京でのライブの演奏を収録した、”Live In Tokyo”とすることにしました。

Max roach Live In Tokyo.jpg


この作品の魅力!!?

先に上げた1950年代の名演群、そのどれもがジャズの歴史に残る重要なものばかりだと考えているのですが、その時代を共にしたプレヤーの顔ぶれを見てみると、 Roach とは年齢もそう変わらず、一世を風靡し今にも名を残したプレヤーばかり。

その音楽を聴いてみると、必然その音楽もグループとしてのサウンドを重視したものとなっていて、Roachのドラムもその凄さを感じさせてくれるものの、他のソリストとのバランスを見据えたものであったように思えるのです。

ところが60年代に入って以降の彼のサウンドは、ビ・バップ、バップとジャズの2つ時代を牽引してきたジャズの巨星としての地位を謳われていた彼は、周辺に若手を起用し、自らのドラムをクローズ・アップし、それをその中心に添えつつも、若手たちの創造性を喚起する傾向が強くなっていったように感じらるのです。

そうした中で70年代に制作されたこの作品、実はこの私、このライブの直後、FM放送で彼のピアノレス・カルテットの演奏を聴き、既に過去の人だと思っていたRoachのドラムに、秘められた無限の可能性と大きな広がりがあることに気付かされ、ひどく驚かされたもの。

以来、Roachのドラムの真髄を知るには、この作品こそ打ってつけのものと思っているのですが、果たして私以外の方々はどう思われるのか???

早速、このサウンドをお聴きいただき、お話を続けいくことにしたいと思います。






お聴きいただいた曲は”It's Time".

ピアノ・レス カルテットによる緊張感メ一杯のこの演奏、Roachのドラムの物凄さもさることながら、それれに刺激され咆哮するフロント陣二人の迫力ありあまるプレー。
聴く者を、あっという間に呑み込み圧倒してしまうほどの力のある演奏だと思います。


私がRoachというドラマーのもの凄さを初めて知ることになったのは、モダンジャズ・ピアノの父と称されるBud Powellの1951年のBlue Note盤”The Amazing Bud Powell Vol.1”の中に収められた ♪=274の速さで演奏される超快速曲"Un Poco Loco"でのプレーを聴いてのこと。

この作品には、一番最初に、この曲の3つのTakeが並んで収められているのですけど、それをドラムに焦点をあてて聴いてみると、まずは、この超快速曲のリズムを機械仕掛けの如く正確に刻むその様子に耳が引き付けられ、さらに3つのTakeを聴き進んで行くと、この曲でRoachが打ち鳴らすカウ・ベル、そのリズム・アクセントの位置がそれぞれ変えられいて、特に2つ目のTake2と3つ目の本Takeのアクセントの付け方には、この超快速の曲のリズムの乗りとは大きな違和感が生じているにも関わらず、それをものともせず変わることない正確なリズムを刻むRoachのプレーに驚かされてしまったからなのです。

の乗りの感覚の不思議さもさることながら、Roachというドラマー凄さ、ともに天才なればこそ、ということなのだ思います。


Powellの作品の話になってしまいましたが、ビ・バップ時代のRoachを知ることこれも大切、この記事の末尾その演奏、掲載しましたので、機会があればこの Bud Powellの作品にも耳を傾けていただければと思います。




さて、話は戻ってMax Roach。
そのドラムの特徴はリズムの正確性だけではないというのです。
日本のジャズ評論家の粟村政昭氏の評によれば「ドラムでメロディを叩くことのできた最初のドラマー。」だというのですが、これには海外の評論家からも同様のコメントが出されていて、それまでのドラマーが単にその曲のビートを保持するためのプレーに終始していたのに対し、お聴きいただいての通りRoachのドラムにはそれ以上のものがあるのは確か。

1965年の”Drums Unlimited(邦題:限りなき探究)」”では、6曲中3曲が彼のドラム・ソロの演奏なのですが、そこにはビートにメロディアスな要素を付加したその斬新さあり、それだけで十分に音楽にしてしまっているあたり、これこそRoachというところ。

しかし、この”Live In Tokyo”では、そうした彼の凄さ、それにさらに磨きがかかり、バンド全体を包み込むアンサンブルの要素までが付加されて、この演奏のスケールを、さらに大きなものにしているようにも感じられます。

それでは、この”Live In Tokyo”からもう1曲。
あの有名なバラード・ナンバーの演奏を聴くことにいたしましょう。



曲はThelonious Monkの作曲のによるバラードの名曲 ”'Round Midnight”。

通常、抒情的な印象で演奏されることの多いこの曲、しかし、ここで聴いたのは、それとは異なった強いインパクトを放つ”'Round Midnight”。

Roachのドラムの微細な変化に即座に追随し、自分の語りで次々とソロを紡ぎだして行くソリストたち。
ピアノ・レスによる和音束縛から解放されたサウンドの自由に身を置いたソリストたちが、Roachの一打に導かれ、テーマを離れ自からの創造世界に旅立って行く、これこそジャズの真髄、それを感じさてくれる演奏だったかと思います。


それにしても、Roachの意思に隙のなく一心同体のプレーを見せるソリストたち、その中にあってトランペットのCecil Bridgewater、今ではこの来日の時、同伴した元妻Dee Dee Bridgewaterの方が有名となってしまって、今では既に忘れかけられた存在になっているように思うのですけど、この演奏を聴けばもっと評価されるべきトランぺッターの一人ではなかったのかと そんなことを考えさせられてしまいます。




前回のMingusの作品を聴いて気付かされたのですが、これまで棚に入れお蔵入りにしっぱなしであった我家の蔵入りレコード群今の自分の耳でもう一度聴き直すことの必要性。
このMax Roachの作品も、時をおいて聴き直してみれば、新たな味を発見することになりました。

おまけに今回は、Powellの作品まで味わい直すことになってしまって!!!




新たな音源を見つけるのも楽しいけど、聴きなれた音源から、それまで気付かなかった隠れたメッセージを発見することが出来た時の喜びもまた格別。

これからも新旧織り交ぜ、聴き続け またお話し出来ればと思いました。


Track listing
1. Calvary
2. 'Round Midnight
3. It's Time
4.Mr.Papa Jo
5.Scott Free Part 1
6.Scott Free Part 2

Personnel
Drums – Max Roach
Tenor Saxophone – Billy Harper
Trumpet – Cecil Bridgewater
Bass – Reggie Workman

Recorded
January 21, 1977 at YUBIN CHOKIN HALL, TOKYO



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コメント 2

mwainfo

「それまで気付かなかった隠れたメッセージ」、まさにおっしゃるとおりです。ブラウン、ローチは、今でも聴き続ける愛聴盤の一つです。
by mwainfo (2017-02-09 10:55) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

mwainfoさん

聴き方によって聴こえ方が違ってくる、これがジャズの面白さですよね。

ブラウン&ローチも聴き直してみると、ローチのドラムがブラウンのトラペットを適度に鼓舞し、その才をとことん引出していた、そうした様子が見えてくるように思います。
by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2017-02-11 17:52) 

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