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2016年印象に残った作品 その1 [音源発掘]

なんだかんだ言っているうちに、12月ももう半ば。
今年は、年明けから忙しく動きまわっていたせいか、それを実感できず、今もってそのことが信じられないでいた次第。

ところが、それまでの働きすぎが祟ったのか、常々溜まり続けた疲労が爆発して、ついにダウン。
そこで、数日間ゆっくりと何もせず休息をしながら周囲の様子をよく見てみると、空気はまさに師走。
そんなことで、時の流れを知るなどとは、全くもってショウモナイ話なのですが、まもなく2016年が終わろうとしているのは事実。

そうなれば、今年も当ブログ、やはり1年間聴いてきた音楽、その印象を決算しなければということで、今回は、毎年恒例となっている”印象に残った作品”、またそのいくつかを取り上げお話を進めて行こうと思います。

さて、その第1回は、クラシック作品から。
今年、私にとって大きな衝撃だったのは、野ものとも山のものともからなかったシンセサイザーという装置を世界に先駆け取り入れ、楽器としての生命を与えつ新たな音楽世界を切り拓いた、日本を代表する音楽家である富田勲さんの逝去。

その第1作目の”月の光 Clair De Lune”発表以来、彼の音楽に接して来た私は、近年は、源氏物語や宮沢賢治の文学作品を題材にしたその音空間に惹かれつつ、命尽きるまで探究の手を緩めることのないであろう富田さんの生みだす次なる音世界を楽しみして来たのですけど........!!

その期待通り、その彼が次なるステップに進み、その完成を間近に控えたこの出来事。
それは、その日も富田初のバレエを組み込んだその曲の発表打ち合わせ途上だったという、突然の彼の死。

「曲を完成させたすぐ後は、こんなキツイこともうしたくないと思うのだけど、またしばらくしたらまた始めてしまうのでしょうね。」 

これは、前作、バーチャル・シンガー初音ミクとオーケストラとの共演で話題となった”イーハトーヴ交響曲”を発表した直後、富田さんの語っていた言葉ですが、その言葉通り再び創作の世界に返り咲き、日々精力的に活動をしていた富田さん。

その終焉は、そうした言葉を語った、かにも富田さんらしい最後だと思いつつ、私は、彼の音楽、その聴き軌跡をたどり聴いているうちに思い当たったのが、90年代に彼の手掛けた作品”源氏物語幻想交響絵巻”のクラシック・オーケストラの演奏の中に和楽器を取り混ぜ、日本的な雅の世界を創出した絶妙なアレンジ術。

日本の伝統的音楽を完全に自家薬籠のものとした彼のこと、もしかすると、和楽器をフューチャーしたシンセザーとの共演作品があるのではと、探し見つけたのがこの作品。

藤原道山 x 冨田勲 響 -kyo-.jpg


日本の代表的尺八奏者、藤原道山とのコラボによる作品、”響 -kyo-”。

藤原道山と言えば、尺八をもってジャズにチャンレンジし、ピアニストの菊池雅章、ベーシストのGary Peacock等との共演よって、日本の伝統とジャズのインプロビゼーションの世界を見事に融合させた名盤”銀界(http://hmoyaji.blog.so-net.ne.jp/2009-04-15)”を生み出した、人間国宝 故 山本邦山のお弟子さん。

これはかなり期待が出来そうと、さそっく手に入れ聴いてみることにしたのがこの作品なのです。

さてそのサウンド、一体どんなをものなのか????
まずは、一聴いたしましょう。







曲は、”武士の一分”。
山田洋次の監督による、ミステリアルなシンセサイザーの響きに導かれ始まる、2006年発表の同名映画の主題曲であるこの曲、その映画の1シーンが目に見えてくるような、そうしことを感じられたのではないかと思います。

この作品、この他にも映画やTVなどのドラマ・ドキュメントの主題曲が収められているのですが、映像を伴わずあらためてサウンドだけで接してみると、どの曲も自然にそれら作品が映像が見えてくるように思え、あらためて富田さんの視覚も創造する卓越した作曲手腕を知ることとなりました。

そして、微妙な陰影を持つ尺八という楽器の特性を十二分に活用した富田さんの音創りと、その作曲者の心情を深く理解しそのサウンドを深みの境地に導いて行く道山の尺八。
この作品に収められた楽曲のすべての楽曲に、そうした日本人ならではの繊細な感性が息づいていることに気付かされてしまったのです。

和の音を知りぬいた富田と、日本古来の音で現代を歌う道山、この作品、この二人の傑出した感性から生まれ出た新しい和の世界の音、富田氏亡き後、これからも、若手の音楽家の手によって、今後もその偉業を引き継ぎ発展させて行って欲しいものだと思いました。



さて、次の作品は、
そうした富田×道山から得た思い、それを抱き続けながら音楽を聴き、その次に出会ったこのユニット。

風の都 KOBUDO -古武道-.jpg



尺八奏者 藤原道山、ゴスペラーズや平原綾香・クレモンティーヌの楽曲の作曲で知られるピアニスト 妹尾武(ピアノ)、そして東京都交響楽団の首席チェリスト古川展生(チェロ)の3人で構成されたKOBUDO -古武道-。
前出の富田さん作品で、道山の尺八を聴いて、山本邦山のお弟子さんである彼ならば、もっと多彩な活動をしているはずと、調べ出会ったのですが、まずは語るよりそのサウンド、早速聴いていただくことにいたましょう。



曲は、彼らのセカンド・アルバム”風の都”から、”琥珀の道”です。
残念ながら、KOBUDOの演奏映像が見つかりませんでしたので、ほぼ同様のアレンジの藤原道山の演奏で聴いていただきました。

聴いていると尺八の音が、時にはケーナやオカリナ音のようにも聴こえ、この楽器の新たな一面とその可能性を感じさせる演奏だったと思います

古川の古、妹尾の武、藤原の道と3人の名の一文字から名付けられたというこのユニット。
本来の古武道の意味ではないけれど、このユニットには、本来の古武道にある奥義のように、新たな秘めたる奥義を生み出して行くそうした力があるように思え、これからの活躍をさらに期待したいものだと思いました。


さて、そして3つ目の作品は........!!

ここ数年、日本のクラシック及びジャズ・シーン、海外作品とは一風趣を異した好作品が多く生み出されている点、それ自体は大変嬉しいことなのですけど、何故かそれらの作品、女性アーティストの活躍によるものがやけに目立ち、男性アーティストの影が薄くなっているように感じられるのです。

そこで、今年は、生きのいい男性アーティストによるポップかつ聴きごたえのある作品はないかと探したところ出会ったのがこの作品。

sources  sunrise.jpg


桐朋当学園大学出身の3人の若手アーティストによるユニット Sourcesの”SUNRISE”。
ヴァイオリン2本とピアノという編成ながら、そんじょそこらのロック・バンドでは太刀打ち困難ともいうべき、乗りの良い、迫力ある演奏が真骨頂。
それでは、その音源、早速ご紹介することにいたしましょう。



クラシックの楽器でポップな味わいの音楽を生み出したアーティストと言えば、日本では葉加瀬太郎がそのパイオニア的な存在ではないかと思うのですけど、ここで聴くSourcesのサウンド、葉加瀬太郎とそれと比べその世代がかなり若いこともあり、ロックやフュージョンのエッセンスをなんの拘りもなくごく自然に取り入れ、自らの音楽表現としている様子が窺い知れます。

そして、この作品の楽曲の中には日本の伝統的な音を内包させながら、現代的な装いに仕上げられたサウンドもあり、このあたり先のKOBUDO共に、彼らも、これからが期待できるアーティストではないかと感じました。


いろいろな音楽の出会ってきた2016年、日本のクラシックのジャンルでは、新旧交代の中、いい若手が育っていることを知らしめられた1年でした。


さて、次回はロック編、当初は自分好みの作品に出会えず今年は不作となってしまうのかなと考えていまうこともありましたが、その結果は。

また次回も、つたない当ブログお越しくださればと思います。


響 -kyo-
Track listing

1. 藤壷・管弦の宴
2. 武士の一分
3. 文五捕物絵図
4. たそがれ清兵衛
5. 仏法僧に寄せる歌
6. 街道をゆく
7. アジア古都物語
8. ガンジス川
9. ヒンズーの神に祈る少女
10. ひぐらし
11. 紫の上挽歌
12. 浮舟
13. 新日本紀行
14. お爺さんの里

Release
2008/11/19;


風の都
Track listing

1. 風の都(妹尾 武・作編曲)
2. Libertango(ピアソラ・作曲/妹尾 武・編曲)
3. 空に咲く花(古川展生・作曲/妹尾 武・編曲)
4. メトロポリタン~僕らの交差点~(妹尾 武・作編曲)
5. My Favorite Things(ロジャース・作曲/妹尾 武・編曲)
6. 木もれ日の庭(藤原道山・作編曲)
7. 荒城の月(瀧廉太郎・作曲/妹尾 武・編曲)
8. Prelude ~「無伴奏チェロ組曲第1 番」より(J.S. バッハ・作曲/ KOBUDO・編曲)
9. 亡き王女のためのパヴァーヌ(ラヴェル・作曲/ KOBUDO・編曲)
10. 琥珀の道(一ノ瀬響・作曲/ KOBUDO・編曲)
11. 旅立つ春(妹尾 武・作編曲)

Personnel
古川展生 チェロ
妹尾武  ピアノ
藤原道山 尺八

Release
2008/6/18


SUNRISE
Track listing

1.衝動-SHOUDOU-
2.SUNRISE
3.live a little !
4.夢うつつ
5.鍔迫-TSUBAZERI-
6.Skyblue
7.Dancing Dancing
8.journey

Personnel
加賀谷 綾太郎 Violin 
日髙 隼人 Violin 
野津 永恒 Piano  

Release
2014/12/17




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きたろう

コメントありがとうございます。あのコラボはあの会のためだけのようです。にこの音は独特です。
by きたろう (2016-12-18 19:27) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

きたろうさん

そうですか........残念ですね。

しかし、若手の邦楽家たちが、、新しい感性がしっかりと息づいていること、そして、邦山先生の意思が育っていることを感じとても嬉しく思いました。

これからもまた、きたろうさん、草莽のアーティストの動向のルポ。これからもよろしくお願いします。



by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2016-12-24 19:11) 

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