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若き日の巨匠を育んだカルテット・Charles Lloyd;Forest Flower & A Night In Copenhagen 本日の作品;vol.132 [デジタル化格闘記]

ゴールデン・ウィークも、もう終わり。

今回の連休、昨年10月来の忙しさ続きで、ずっと体調がいま一つなっていた私は、その療養ためゆっくりと自宅で休養をすることにしたのですが、おかげで元気回復、一時は記事を書くのもしんどくなっていたのが、やっとのことで、筆を執る気合も出てきました。

そこで、早速今回の記事、暖かな陽気に誘われて、多くの命が新たなものを求めて活動を始めた4月、その季節、どこから身に降り注いでくる躍動的な雰囲気が漂う風から、ふと思い出しよく聴ていた音楽の話。

それは、テナー・サックス、フルート奏者のCharles Lloydの音楽。
ということで、今回はその彼の作品を取り上げ、そのサウンドを聴き接しながらお話を進めて行くことにしたいと思います。


しかし.........、
とは言ってもCharles Lloydというアーティスト、今ではネットを見ても紹介記事もほとんどなく、半ば日本では忘れかけれた存在のよう。

そこで、曲を聴く前にまずは、その彼のプロフィールについて、簡単に触れることからお話を始めることにしたいと思います。


Lloydがシーンに登場したのは1960年代初頭のこと。

当時のジャズ界は、John Coletraneが急速に台頭、彼の創造するジャズが巷を席巻していた時期で、中でもテナー・サックス奏者においては、その50年代のSonny Rollinsに代わり、そのColetraneのスタイルを継承したアーティストが注目を浴びていた時期。

そうした中にあって、このLloydは、ポスト・Coletraneの第1人者として注目浴びていたアーティストなのです。

そのLloyd、さらには作曲・編曲の能力にも長けていたことから、1961年にBooker Littleとの双頭コンボ結成のためChico Hamiltonのバンドを去った、アルト・サックス、フルート奏者のEric Dolphyの後を受け、Hamiltonのコンボに参加、一躍ジャズ・シーンの第一線に躍り出ることになったのです。

そして1964年には、同じくアルト・サックス奏者のCannonball Adderleyの音楽監督を務め、着実にその足元を固め、その翌年の1965年には、いよいよ、後のジャズ界をけん引することなる、若き日のKeith Jarrett(ピアノ)、にJack DeJohnette(ドラム)の2人を加えた自己のカルテットを結成、そのデビュー作”Dream Weaver”を制作発表することとなるのです。

このデビュー作、当時でも高い評価を受け現在でも名盤となっているのものなのですが、その勢い乗ってさらに翌年の1966年にはMonterey Jazz Festivalでの模様を収めたLive作品”Forest Flower”を制作、それがジャズ作品には珍しく1万枚のセールスを記録する大成功を収め、この作品でLloydの名前はジャズ・ファンのみならず多くの聴衆にその名を知られるようになったのです。

Forest Flower Charles Lloyd At Monterey.jpg


というところで音楽。
その大好評を泊した”Forest Flower”から、まずは、このカルッテトの斬新な響きを聴き始めることにいたましょう。
曲は、Lloyd作曲の”Forest Flower - Sunrise~Forest Flower: Sunset”です。







リズミカルなロックのノリとボサノバのソフトな軽快さが融合したような美しいサウンド、Lloydの作曲能力の高さを窺うことのできる佳曲なのではと思います。

そして、Lloydのテーマの後に続く、Keith Jarrettのソロ、ほとばしり湧き出てくる美しいピアノの音の滴に、瞬く間にその音空間に惹きこまれてしまうような気になって来ます。

さすが、後年の名演数々の原点ここにありともいうべきプレイ、そこに、さらにもう一人の巨匠の卵、日本のジャズ黎明期に渡米、後進への道を開拓した、そしてアメリカでもその音楽に大きな賞賛を博した邦人ジャズ・ピアニストの秋吉敏子さんをして、もの凄いドラマーと評されたこともあるJack DeJohnette、 強靭パワーの中に未知の精神世界を秘めた打法は、時に繊細にして強靭。そのプレイは、後にJarrettとGary Peacock(ベース)とのピアノ・トリオの演奏でも、如何なくその技が発揮されていることでもわかるのですけど、若き日のこの演奏でも、その資質がメンバー全員を強く鼓舞しているように感じるのです。

さらに、このリズム・セクションの一角をなすもう一人、この人、私の好きなベーシストなのですけど、現在大御所となった先の二人と比べ影は薄いように感じる、Cecil McBee 。

この人、同時代のアーティストであるRon Carterが、この時、既にMiles Davisのクインテットで既に活躍していたことや、70年代に入ってStanley Clarke等をはじめ多くの有能なベーシストが出現したことがあって、今はいささか影の薄い存在となってしまっているように思うのですが、自由奔放な二人の巨匠の卵と共に、確実なベース・ワークで演奏をまとめ上げている、そのプレイも、じっくりと耳にしていただければと思います。

それにしても、このカルテットの演奏、ジャズのみならずロックやフォークのサウンド・エッセンスを内包しつつ、前衛フリー・ジャズ的な要素まで飛び出して来る変幻自在ぶり、それでいて破綻をきたすることもなく、乱れることのないサウンドの流れを作り上げている、これこそ、Lloydのみならず、バックを支える3人のジャンルを越えた幅広い音楽的素養と柔軟性のなせる技であり、この作品が、今もって多くの人の共感を呼び続けている大きな要因であるかのように思うのです。

 
さて、その後のCharles Lloyd、このカルテット解散以後は、ロック畑のアーティストも交流しつつ活動するも、70年代後半にはほぼ引退状態になってしまい、その名を聞くこともなくなってしまうのです。

実を言うとLloydのプレイ、当時私は、スタイルこそはColetraneようであるも、なにか捉えどころがなく、その精神を受け継ぐには至っていないのではということで、なかなか理解できずにいたのですが、そんなこともあって、このカルテット解散後の彼のプレーには全く興味を持つことができず、その動静が聞こえてこなくなった時も、それは至極当然こと、もう再度復帰はないもののと思ってしまっていたのです。


ところが........、

半ば引退状態にあったLloyd、80年代に入ってにわかに復活の動きが出てくるのです。
そのきっかけを作ったのは、当時18歳でアメリカに渡って来た、後にジャズ界の至宝となる小さなフランス人のピアニスト。
その彼が、突如引退中のLloydのもとに現れたことがそのきっかけとだったのです。

そのピアニストの名前は、Michel Petrucciani。


フランス人にして、その有能さを認められ、後に初めてBlue Noteレコードからアルバム・デビューを果すことになる、当時骨形成不全症 ため身長1mにもみたない超小柄な若干18歳の青年ピアニストとの出会い、そして、その青年の弾くピアノに惹かれたのか、Lloydは、このPetruccianiによって復帰を決意、再び彼を加えてのカルテットを結成し活動を開始することになったのです。


それでは、今度はPetruccianiを加えたカルテットの演奏から、1983年の作品”A Night in Copenhagen ”から、”."Lotus Land ”を聴くことにいたしましょう。



Jarrettとの比較でよく語られていたというMichel Petrucciani。
私は、長らくこの二人のスタイル、確かに共通項はあるものの、比較対象として語ることは出来ないと思っていたのですが、その疑問が、このPetruccianiのプレイを聴いて氷解したのです。

それは、Lloydの下でプレイをしていた頃のKeithのプレイと重なるものがあるということに、あらためて気付かされたということ。
そういえば、LloydもPetruccianiという逸材を得、以前のKeithとプレイした時のような溌剌したプレイの意気を取り戻している。
そこの有ったのは、この時二人の脳裏をよぎっていたろう往年のカルテットの再来、それがPetruccianiの中にKeithなるものを芽生えさせてしまった、そのようにも思えてくるのですけどどう思われますか。


さてこの作品、この他の聴きどころ言えば、今回は音源が見当たらずご紹介することはできませんでしたが、それは、Lloydのフルート・プレイの美しさ。
そこには、Keith在籍時代のサウンドとはまた異なったLloydの境地があるような、これも耽美的な音世界を持つPetruccianiという逸材を得ての結果のように感じられます。


こうして聴いて来たCharles Lloyd、この人、余りあるアイデアを持ちながら、一人だけでは消化不良を起こし捉えどころのない印象が先行してまうようなのですが、一度彼の音楽を理解具現することのできる幅広い素養を備えたアーティストと出会うとその才能は開花するアーティスト、それが後の逸材達を惹き付け共に名演を生み出しす原動力となった、今回、この二つのカルテットの演奏を聴いてみて、そのことを強く感じることになりました。

そして、今回ご紹介できなかったLloydのフルート・プレイ、また、次の機会にまた聴いていただければと思っています。

Forest Flower
Track listing
1."Forest Flower: Sunrise" (Lloyd)
2."Forest Flower: Sunset" (Lloyd)
3."Sorcery" (Keith Jarrett)
4."Song of Her" (Cecil McBee)
5."East of the Sun" (Brooks Bowman)

Personnel
Charles Lloyd - tenor saxophone, flute
Keith Jarrett - piano
Cecil McBee - bass
Jack DeJohnette - drums

Recorded
September 8, 1966
New York City (3&4)
September 18, 1966
Monterey Jazz Festival, Monterey


A Night in Copenhagen
Track listing[edit]
All compositions by Charles Lloyd
1."Lotus Land (To Thakur and Trane)" 9:08
2."Lady Day" 7:22
3."El Encanto" 6:23
4."Third Floor Richard" 8:14
5."Night Blooming Jasmine" 14:23
6."Of Course, Of Course" Bonus Track on CD 9:45
7."Sweet Georgia Bright" Bonus Track on CD 11:45 Recorded at the Copenhagen Jazz Festival, Copenhagen, Denmark on July 11, 1983

A Night in Copenhagen
Track listing
All compositions by Charles Lloyd
1."Lotus Land (To Thakur and Trane)"
2."Lady Day"
3."El Encanto"
4."Third Floor Richard"
5."Night Blooming Jasmine"
6."Of Course, Of Course" Bonus Track on CD
7."Sweet Georgia Bright" Bonus Track on CD

Personnel
Charles Lloyd – tenor saxophone (2, 5, 7), flute (3, 4, 6), Tibetan oboe (1)
Michel Petrucciani – piano
Palle Danielsson – double bass
Woody Theus – drums
Bobby McFerrin – vocals (tracks 4 & 6)

Recorded
at the Copenhagen Jazz Festival, Copenhagen, Denmark on July 11, 1983



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コメント 4

mk1sp

お久しぶりです、体調回復されて、なによりです(*^_^*)。

「A Night in Copenhagen」、田舎の郷愁を想起させるような演奏、良いですね♪、自由自在といった印象のフルートの演奏も爽快、コペンハーゲンへ行ってみたくなりました(*^_^*)。
by mk1sp (2016-05-09 09:41) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

mk1spさん

コペンハーゲンというところ、60年代にアメリカのアーティストが、本国を出てここに滞在していたこともあって、ここで生まれた名演、結構あるのですよ。

それも皆、この美しい北欧の地の空気触れてか、アメリカでの演奏以上に奥深さが増していて。

私も、一度ここへ足運び、その空気に触れながらジャズに親しんでみたいなと思っています。

by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2016-05-11 15:09) 

ハンコック

こんばんは。
この盤は元Sジャーナルの大先輩に教えて頂きまして、かなり聴きました。
最近1957年~1959年あたりのESAT,WEST一辺倒になってしまってるため、先日もちぐさでお掛けになられた方がいらっしゃいましたので、久しぶりに効きましたが、Loydの演奏にだいぶ違和感がありました。
しかしKeithのほうは納得。
この盤ですが、特にオーディオ仲間の間でも、
Liveの割に、なぜこんなに音が良く撮れるの?と話題になる盤ですね。
あの観衆の中で、良くあんなに撮れるものだとびっくりしますね。

それから、Petruccianiとのお話は興味深く拝見させていただきました。
何枚かは持っているはずですが、全然聴いてませんね。
うまいのはわかっているのが...

by ハンコック (2016-05-20 21:42) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

ハンコックさん

Atlantic盤、どちらかというとスタジオ録音でも音はあまり良くないという印象があるのですけど、この”Forest Flower”、そのAtlantic盤に加えてLive録音であるはずなのに、繊細な音まで捉えられていて、この辺、やはりレコーディング・エンジニアの腕の冴え、その違いが出ているということなのでしょうかね。

Petrucciani、私がこの人を知ったのは、確かBlue Note In Japanのステージだったと思うのですが、何も知らずにそのプレイを聴いてこれはと思ったことが始まり。

作品ごとに違った顔見せるPetrucciani、この辺、なかなか捉えどころがなく作品選びが難しいのですけど、一度、彼の初期の作品である”Michel Petrucciani(通称 赤ぺト)”などを聴いてみるとその本質に触れられ、その良さがわかるかもしれませんよ。

そして捉えどころになかったLoydも、近年の作品である”Mirror”あたりなど、円熟の憂いを感じられる点、聴いてみるのもいいかと思います。






by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2016-05-24 15:00) 

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